EAによるポートフォリオについての考え方


MT4で自動売買をする場合、ハイリターンを目指すためには、各EAの取引ロットを上げなければ大きなリターンは望めません。しかし、EAの取引ロットを上げた場合に最大ドローダウンも大きくなり、最悪の場合は口座破綻の確率も上がります。

XMの場合はゼロカットなので追証を求められることはありませんが、それでも大きな損失であることは間違いありません。

この相反する事象に対する最も有効と考えられるアプローチがポートフォリオという考え方で、分かりやすくいうと1つに集中投資しないで複数の投資対象に資金を分散させ、結果的にリスクも分散させようとする考え方です。

この分散のさせかたはいろいろあって、株と不動産とFXと先物で分散投資….なんていうのもありますが、今回はFXの自動売買でのEAによるポートフォリオの組み方について、私がやっている事を簡単に説明して行こうと思います。

当サイトの無料EAをダウンロードして使ってもらっている方だけではなく、MT4でEAを使っている人全ての参考になればと思い書いて見ます。

バックテストデータは重要な武器

バックテストデータは重要な武器

まず、個々のEAのパフォーマンスについて出来るだけ正確なバックテストデータを取る必要があります。

所詮バックテストは「過去のデータで将来のことは分からないよ」と行ってしまうとそれまでですが、我々が利用できるデータやツール等の中で、MT4のバックテストデータを利用する価値は十分にあり、市場において優位性を得るための重要な武器になります。

右サイドメニューの、「正しいバックテストのやり方?」も読んでいただきたいのですが、現在私たちが無料で手軽に利用できるMT4のバックテスト用のデータで最も正確なものはおそらくFXDDの提供するヒストリカルデータではないかと思います。

  • バックテストのサンプルはAlpariのデータで行ったもので、以前Alpariで精度の高いデータを提供していた頃のものです。

前提として、EAのバックテストは正しく行われていて、MT4の「Mismached Charts error」「不整合チャートエラー」の項目は「0」になっている必要があります。

ポートフォリオのマジック

ポートフォリオのマジック

それでは、ポートフォリオの核心について説明していきます。

ちょっと細かい数字の比較などもありますが、頑張ってついてきてください。

  • バックテストデータの合成に「ReportManager」というアプリを使っていますが、当サイトのツール置き場からダウンロードできます。

 まず、以下のようなバックテストのEAを使っていたとします。

このEAと同時に以下のEA(通貨ペア)も稼働させたとします。

この2つのEAを同時に稼働させたと仮定して、バックテストデータを合成すると...
以下のようになります。

ここまでの結果を比較して見ます。
項  目 Scal-1(EU) Scal-1(GU) 同時稼働
純  益 2,149,052 円  35,8287 円 2,507,340 円
MAX DD 165,718 円   71,584 円 158,156 円
PF  1.85 2.05  1.88

純益は、当たり前ですが合計になります。

注目すべきは最大ドローダウンの項目です。同時稼働させることによってドローダウンが小さくなっています。 これは片方のEAが負け続けている時に、もう片方のEAが勝っているのでこのようなことが起こります。

結果的に、リターンが大きくなって最大ドローダウンが小さくなることが期待できます。

では、さらにもう一つ、EAを加えて見ます。ちょっとポートフォリオらしくなるのではないでしょうか。

以下のバックテストデータのEAをポートフォリオに加えてみます。

ブレイクアウトロジックのEAなのでちょっと勝率は低いのですが、同時稼働させたと仮定してバックテストデータをさらに合成して見ます。

「ReportManager」を使ってバックテストデータを合成

おおおおおーーーーー!

グラフを見ただけで効果がわかると思います。

 具体的に比較して見ると...

項  目 Scal-1(EU+GU) Break-2 同時稼働
純  益 2,507,340 円 681,931 円 3,189,271 円
MAX DD 158,156 円 65,004 円 161,842 円
PF  1.88 1.5 1.75

先程のように、最大ドローダウンが下がるとまではいきませんでしたが、わずかなドローダウンの増加で、純益を大きく伸ばすことができました。

最大ドローダウンの増加は、 3,686 円 、純益の増加は、なんと 681,931 円 

ドローダウンが微増したと言っても、当初のドローダウン値からは下がっているので上出来ではないでしょうか。

この点が、ポートフォリオの最も重要な核心の部分だと思います。

最大ドローダウンが小さければ、取引ロットを上げてもリスクは上がらず、リターンだけを上げられる…というのが本当の狙いです。

*各EAの取引ロットをどうするかは、さらにテストが必要ですが、取引ロットの最適化をすることにより、さらに高いパフォーマンスを期待できます。

いろいろテストしていると、相性の良いEAと良くないEAがあることがわかります。相性の良いEAとは、ポートフォリオに加えた場合に最大ドローダウンがあまり増加しないか、理想は低下するEAです。

そのようなEAでポートフォリオを組むためには、通貨ペアの分散も効果はありますが、売買ロジックの多様性も大切だと思います。

とはいえ、右肩下がりのEAをポートフォリオに加えるわけにはいきません。

いろいろなEAをテストしていると、勝てる見込みのEAだけでロジックの多様性を確保するのはなかなか難しいことだと思います。(そもそも勝てる見込みのEA自体が希少)

しかし、われわれに出来ることは何かを考え、取引時間帯や稼働スケジュールを工夫したり、取引ロットをさらに追求して調整するなどして、よりパフォーマンスを求める努力は必要ではないでしょうか。

  • ここでバックテストの合成で使うツール「Report Manager」は、上部メニューの「ツール置き場」からダウンロードできます。
  • 必須ツールなので、持ってない人はダウンロードしてください。 Report Manager の使い方は、右サイドメニューの「Report Managerの使い方」を参考にしてください。

売買方向(Long・Short)別の最適化も有効

売買方向(Long・Short)別の最適化も有効

当サイトの無料EAの中には、Long(買い)用とShort(売り)用のパラメータを別々に最適化してるものが多くあります。場合によってはLongのみ提供みたいなEAもあったりします。

これは、LongとShortでそれぞれ最適なパラメータ値に差がある場合は非常に有効だと思います。

昔、私が自動売買を始めたばかりの頃使っていたフリーEAで、「売りでは良く勝つんだけど、買った時は負けることが多いな~」と感じるEAがありました。

バックテストで「Short Only」でテストすると、めちゃめちゃイイではありませんか!。

その発見からバックテストやパラメーターの調整はLongとShortを別々にやるようになりました。

ただ、LongとShortのパラメータの内容に大きな差がない場合は、あまり意味はありませんので普通に使った方が良いと思います。

しかし、うまくいく場合はドローダウンを下げつつ純利益を伸ばせることもあります。

例えば以下のような感じです。 さきほど使ったデータですが、全て設定は100万円スタート、0.1ロット固定、スプレッド2.6です。

これは、あるEAを8年強の期間で最適化したものです。

上記と同じEAをLongとShortを別々に最適化して合成したものが以下です。

どうでしょうか? なんとなく収益曲線のデコボコが少なくなり、滑らかになったような気がしませんか? これって、結構重要なんじゃないでしょうか? 重要な項目を比較してみると…..

項  目 通常最適化 LS別々に最適化
純  益 503,828 円 681,931 円
MAX DD 105,716 円 65,004 円
PF 1.31 1.5
勝  率 43.25% 48.33%

かなり改善しているのがわかるとい思います。

ちなみに以下がLongとShortを別々にバックテスト最適化したものです。 まずロングから

次にショート

それぞれのバックテスト結果はこんな感じです。

微妙かもしれませんが、これでも結構な時間をかけて最適化した結果です。

効果があるEAばかりではないのですが、一考の余地は大いにあると思います。

さぁみなさん!

今からバックテストですよ!!

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*ここで使ったバックテストデータのEAは、当サイトでダウンロード提供している無料EAのデータを使っています。

興味のある方は上部メニューの「EAの紹介」「無料EA一覧」から他のEAのデータも見れます。


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