勝てるEAを見極めるには?

勝てるEAを見極めるには?


MT4の自動売買でのEAは無料・有料を含めて世の中には星の数ほどあります。しかしその中で勝てるEAはどのくらいあるのでしょうか。

10年以上MT4の自動売買に関わってきた経験で言うと、その割合は極めて低いと言えます。

これは、自動売買に関わった人なら切実に感じているのではないでしょうか。

そして、利益を生み出すEAに巡り会う前に諦めてしまう方が圧倒的に多いのが現実ではないかと思います。

自動売買を続けていくにあたって、的確に素早く使えそうなEAかダメなEAかを判断することができれば、ダメなEAに引っかかりにくくなり、より多くのEAを吟味することができ、その結果良いEAに巡り会える可能性も上がると思います。

なにより、EAに無駄なお金を使ったり、闇雲に宣伝を信じて大切な資金を失ったりすることがなくなれば、かなりの進歩です。

当サイトの無料EAに限らず、EAが使えるかどうかを出来るだけ事前に早く見極める私なりのチェックポイントを書いていきます。

  • 記載事項は、私の主観に基づくものもあり、ベテランの方から見れば常識的なこともあります。
  • 内容は私の主観を含みますので、一個人の考えとして参考程度に読んで見てください。

勝てるEAかの判断基準

勝てるEAかの判断基準

では、EAが信用できるものかを判断する私なりの目安を書いて見ます。

ザックリ以下の点について解説していきます。

  • EAの基本的なロジックについて
  • MT4でのバックテストについて
  • 1分足EAとトレーリングストップの罠
  • フォワードテスト(myfxbook)は超重要ポイント!

EAの基本的なロジックは?

自分が使う場合のEAでは、マーチンゲール、ナンピン、グリッド、トラリピ、イフダンなどのロジックは絶対に使わないようにしています。

これらのロジックは、負けた時に口座が飛ぶか再起不可能な致命的ダメージを負う可能性が極めて高いものです。

また最も見逃されがちなのは、これらのロジックの特徴として常に含み損を抱えた運用になることです。さらには、しばしばその含み損が非常に大きな金額になり、常に精神的なストレスを抱えながらの運用になり、やがて含み損に口座が耐えられなくなったときに破綻します。

公開されているバックテストやロジックの解説などでは、この含み損についての説明や情報を記載(公開)していないものも多いので注意が必要です。

しかし世の中にはナンピン系等のEAが結構存在するのは、EAを売る立場から言えばロジックが単純で作りやすく、ドローダウンを含まないバックテストを作って含み損を隠せば、簡単に聖杯ぽいEAが作りやすいからだと思います。

ドローダウンして破綻状態になった場合は、カーブフィッティングしてEAをバージョンアップすれば……

それらのロジックを除外した中で、トレンドフォローやブレイクアウトなどのようなロジックが王道的なロジックではないかと考えます。

トレードスタイルでは、デイトレードに近いスキャルからデイトレードくらいまでの範囲が自動売買に向くように思います。

基本的には複数ポジションを取るのは良いのですが、1回1回のトレードで勝ち負けをつけるタイプでないとダメじゃないかな〜と個人的には思っています。

また、バックテスト結果からもマーチンのようなピラミッディング的なナンピンをするEAなのか見抜く方法がありますので紹介します。

下記グラフの下の方にグリーンの棒グラフのようなものが出ている場合はロットサイズを変えてナンピンするタイプの場合が多いと思います。

ナンピン、マーチンバックテスト1

上記のようなバックテストのグラフのEAは、遅かれ早かれ下記のようになります。

この棒グラフの長さの違いがポジションサイズの違いで、そのようなEAはその時点でゴミ箱行きになる場合が多いと思います。

  • バックテストデータを加工しているものもあり、含み損やロットの差を見えないようにしてあるものも見受けられますので、できれば自分でバックテストを行ったほうが良いように思います。

MT4でのバックテストについて

多くの場合、バックテストデータが公開されていると思いますが、まず最初に見るべきポイントがいくつかあります。

テスト環境についてですが……

  • どこのヒストリカルデーターでテストしているか?
  • 固定ロットでテストされているか?
  • テスト期間は十分か?
  • スプレッド設定は適切か?
  • 不整合チャートエラーが「0」になっているか?

以上がテスト環境についてチェックする点です。

順に見ていくと、まず使っている使うヒストリカルデータによって、結果は大きく変わります。

私たちが無料で利用できる1分足のヒストリカルデータの中では、FXDDの提供するものが比較的信憑性が高いとされています。

以前はアルパリも良いデータを提供していたのですが、現在は提供を中止したようです。

重要な点ですが、固定ロットのテストでないとロットに対しての最大ドローダウンの目安がつきません。

よく複利でテストしているものがありますが、これはテスト結果を現実以上に良く見せるセールスの為のもので、それ以外の目的はありません。

複利でのバックテストを売りにしているものは、ちょっと注意した方がいいかもしれません。

バックテストの期間については、2〜3年では短すぎると思います。

短期間のバックテストデータは信頼性が低く、実際の運用ではバックテストとかけ離れた結果になる可能性が高くなります。

短期間のバックテストであれば、ダメEAでも聖杯のようなバックテスト結果に調整(カーブフィッティング)しやすく、見栄えの良いバックテスト結果を作ることは容易です。

逆に、長期間のバックテストはEAやパラメータの素性をより正確に表していて、短期のものと比較して信頼性は遥かに高いと言えます。

長期バックテストの場合は、ダメEAをカーブフィッティングして良い結果を出すのが困難な事もあり、その結果は一定の信頼性があると言えます。

EAを使う立場で言えば、8年〜10年間くらいのバックテストデータは欲しいものです。

スプレッドの設定に関しては、稼働させるブローカーの特性にもよりますが、実際のスプレッドにどれだけかプラスした値(厳し目で)でテストするべきだと思います。

XMでEURUSDでの運用時間帯でのスプレッドは概ね1.6〜1.8pipsくらいの間なので、私の場合は0.4pips程度の安全マージンをとって2.0〜2.2pipsくらいでバックテストしています。

ブレイクアウトロジックの場合はネガティブスリップする確率が少し上がるように思うので、さらに厳しく2.2〜2.6pips(EURUSD)くらいでテストしています。

バックテストのスプレッド設定を小さくすれば、当然バックテストのパフォーマンスは上がります。しかしリアル稼働させるために吟味するのであれば、スリッページやスプレッドが開くことも想定して多少は大きめにスプレッド設定をする必要があると思います。

特に販売用のEAでは、バックテスト結果をよく見せることは売上に直結するので、現実的ではないスプレッドでのテストを公開しているものもあるように思います。

不整合チャートエラーについては「0」でないとバックテストの信憑性は下がります。

ざっと、バックテストの環境面だけでもこれくらいはあります。

その上で、バックテストの結果が一定以上のレベルにないとダメということです。

バックテストの内容の説明と見方についてはご存知の方も多いと思いますので詳細はここでは割愛致します。

詳しく見たい方はバックテストデータの見方ページをご確認ください。

無料のEAであれば入手した後で自分でバックテストすれば良いのですが、販売されているものの場合はそういうわけにも行かない場合が多いと思います。

しかし、なるべくは自分でバックテストするようにした方が良いのは間違いありません。

悪いことに画像編集ソフトでなんとでもなったりしますので……

1分足のEAとトレーリングストップの罠

EAのロジックとタイムフレームについても重要な注意点があります。

まず、タイムフレームが1分足を使うEAは、通常のバックテストの結果がはあてにならないケースがあります。

始値のみで仕掛けたり手仕舞いするEAであれば問題は少ないのですが、それ以外の場合はちょっと問題があると思います。

MT4のバックテストデーターは元々1分足データーを元に、擬似的にティックを生成している関係で足の中(途中)で売買する場合は実際のデーターとかなり違ったバックテスト結果が出る場合があるからです。

一応、これを回避する「Tickstory」というものがあるのですが…

これは実際のティックデータを使ってMT4でバックテストをできるようにするもので、通常のバックテストであれば「Modelling quality」のところは90.0%なのですが、これを正しく使ったものは「Modelling quality」のところが99.90%になります。

これを使ったものであれば、ある程度信頼できるのですが、長期間のテストができないのとバックテストに非常に時間がかかるというデメリットがあります。

一般的なバックテストでの1分足のものは全部ダメというわけではありませんが、少しだけ注意してください。

もう一点、ロジックでトレーリングストップを使っているものの場合、上記の擬似ティックの関係で実際のパフォーマンスよりかなり良い結果が出ることがあります。

トレーリングステップの設定を小さくするとバックテストの結果はどんどん良くなりますが、実際に稼働させて見るとそのような結果にはならないことがほとんどです。

トレーリングストップは有効な方法ですが、あまり細かいステップにするとEAの実力を見誤る可能性がありますのでご注意ください。

EAのフォワードテストが公開されているか?

一番参考になるのがEAのリアル口座でのフォワードテストで、中でも「myfxbook」ページへのリンクがあるのが最も信頼性が高いと思います。

myfxbookでのチェックポイントがいくつかあります。

「myfxbook」のデーターで、デモ口座ではなくリアル口座のものなのかと、「検証済みの実績」と「検証済みトレーディング権限」にチェックが入っているかを確認します。

無料で使えて、これだけ多機能なデータ収集ができる「myfxbook」ですが、これを使わない理由がわかりません。

「検証済み〜」の2箇所のチェックについては、これが入っているものについては改竄されたデータではないと言えると思います。

もちろん、リアルトレードで長期にわたって右肩上がりでなるべくドローダウンが小さいのが理想です。多少の浮き沈みは良いのですが、あまりに乱高下しているものや上昇幅に対して落ち込み幅が大きすぎるものは、あまりり良くないと思います。

あと1点、ビギナーが騙されやすいことが1つあります。

「Equity Growth」と「成長」というラインがありますが「成長」の方は単純に口座残高の推移を追いかけたものです。

それに対して「Equity Growth」のほうは、含み益や含み損を加えたものです。

上記グラフでは少しだけ赤い線と黄色い線が乖離しているところがありますが、その乖離しているところでは上記の場合は含み損を抱えていたということです。

当サイトの無料EAの中にはマーチンゲールやグリッド、トラリピ、イフダンなどのロジックのものはないのであまり関係ないのですが、マーチンなどの場合は巨額の含み損を長期にわたって抱えている場合があるので注意が必要です。

成長のラインは一直線に右肩上がりでも、「Equity Growth」が思いっきり右下がりで、結局は利益は出ていないなんてこともよくある話だったりします。

キャプチャー画像を貼ってある場合は「Equity Growth」を非表示にしたものを貼れば、含み損は隠せるわけでして、マーチンゲールやグリッド、トラリピ、イフダンなどのロジックで商用のものの中には、そのようなものも見受けられる場合があります。

フォワードテストと称して、謎なデータを公開しているものやデモ口座のステートメントを公開しているものも見かけます。(リアル口座とデモ口座では大きくパフォーマンスが変わります)

厳しい言い方をすれば、「myfxbook」のリアル口座のデータを公開していないEAには、リアル口座での実際の運用実績を公開できない理由があると考えた方が良いのではないかと勘ぐりたくもなります。

バックテスト結果の事なども踏まえて、EAを選定する場合は「myfxbook」のリアル口座でのデータを公開しているEAの中から、吟味して選択するようにすれば、購入したEAやフリーで見つけた無料EAで、大事な運用資金を溶かしたりするようなことはグッと少なくなる可能性が高いように思います。

聖杯EAはあるのか?

聖杯EAはあるのか?

自動売買をもう長い間やっていて、いろいろなEAを1000個以上は見てきましたが、一瞬だけ聖杯に見えるものはよくありますが、セットするだけで半永久に利益を出し続けてくれるようなEAにはお目にかかったことはありません。

また、ロジックを考える上でもそのようなものは多分存在しないのではないかと思います。

いや、何処かにあるのかもしれませんが、仮にあった場合は我々一般人には手の届かないものだと思います。

自動売買に興味を持たれる方は非常に多いと思いますが、よくあるセールスコピーで…

「ほったらかしで楽して儲かる……」

「10万円がなんと10億円に!」

のようなキャッチコピー的なものは眉唾と思って間違いないと思います。

やってる人ならわかると思いますが、そんなに甘いわけないですよね~ww

そもそもEA自体にお金を使うのなら、種銭に回した方が絶対に有益ではないかと思ったりもします。

勝てるEAを使ったとしても…

上記のようなチェック項目を考えてEAを吟味するのは大変なのでは….と思われますが、なれてくるとほぼ一瞬である程度は選別できるようになります。

それらのフィルターをくぐり抜けたEAのバックテストで、右肩上がりのイイ結果が出ると俄然モチベーションが上がると思います。

ただ、ここで冷静に見てほしい点があります

右肩上がりのバックテストでも、よく見るとグラフが下がっている期間や横ばいの期間があるものです。

たとえば以下のバックテストは「Scal-1」のGOLDのものです。

全体的に右上りで、非常に良いように思いますが所々ガクっと下がっているところやダラダラと右下がりになっている期間もあります。

2〜3ヶ月下がり続けているところや、赤い線で挟んだ期間などは挽回するまでに1年くらい掛かっています。具体的には半年くらい下がり続けて、挽回するのに半年くらいかかっています。

これは最大ドローダウンの許容範囲内であったとしても、これくらいの期間は不振な時期が続くこともあるということです。

長期的に勝てるEAであっても極端な話、EAをリアル稼働させた途端に連敗するなんてこともあり得るわけです。(特に私の場合は….w)

MT4で同じEAを使っていながら、利益を出せる人と出せない人の差はここら辺にあるのではないかと思います。

わかりやすく言えば、ちょっと負けたからといって安易に諦めず、また調子が良いからといって安易にロットをあげていたのでは勝てるものも勝てなくなるのではないかと思います。

稼働、停止、ロット調整などは感情的に行うのではなく、根拠があって行うべきことで、その根拠をなるべくはっきりさせることが自動売買における重要な作業の一つだと思います。

リアル稼働していて不調が続いた場合、この不調が想定された範囲のものなのか、想定を超えたものなのかを判断しなくてはなりません。

一般的にはバックテストでの最大ドローダウンに近いくらいドローダウンした場合や、不調期が想定よりも続いた場合は、もう少し様子を見るのか、稼働を停止してポートフォリオから一旦外すか、パラメーターファイルの最適化で改善できるのか…..といった悩ましい判断を迫られる事になるのでは無いかと思います。

勝てる可能性が最も高い方法は?

勝てる可能性が最も高い方法は?

私たちが、自動売買で継続して勝てる可能性の最も高い方法は、上記のような注意点をふまえた上で、勝てる可能性の高いEAを見極めて、できるだけ多数稼働させることではないかと思います。(できるだけ違うロジックのEAで……)

1つのEAでロットを掛けて勝負するとなると、どうしても浮き沈みが激しくなりドローダウンの時期では精神的にもきつくなります。

それにそのEAがいつまでも機能するとは限りません。

それに対して、より多くの勝てる見込みのあるEAを稼働させた場合は、通貨ペアやロジックが分散されていれば、同時に不調気に入る可能性も低くなり、多数のEAを稼働させている割にはドローダウンはそれほど大きくならないことが多くなります。

つまり、個々のEAで見ればドローダウンしているものがあったり絶好調だったりとバラツキがあるかもしれませんが、全体で見れば浮き沈みが少なく右肩上がりになっている….というのが我々が狙うべきところではないかと思います。

単体EAでの勝負ではなく、ポートフォリオ全体での平均勝負をするということです。

現在、私自身もこのやり方で自動売買に取り組んでいますが、今のところは非常にうまく機能しているように思います。(将来もこのまま続くとは限りませんが…)

<現在稼働中のポートフォリオの全EAのトータルデータ:リアルテスト口座>

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